米国選挙、トランプが圧勝しました。
しかし、国内のTV、新聞でトランプが勝った理由の納得できる分析がありません。
経済(インフレ)不安、カマラ・ハリスが弱かった、SNSで上手く騙した、とか、そのような説明ばかりです。
いまだにマスコミは偏向しています。過去の報道を否定したくないのでしょう。
勝ったのはトランプが強かったからです。
そして、強さの根源は主張の正当性にあります。
マスコミがスポットを当てないだけです。
正当性がある主張は2つあります。一つは先週にも言及した郵便投票問題。
もう一つはトランプが最初から一貫して主張している不法移民問題です。
選挙戦でも最後1か月は不法移民問題に焦点を絞って演説したようです。
その論点、今までの経緯も含めてもう一度まとめておきましょう。
2016年、トランプが大統領選に登場してきた時に激怒していたのは、米国国境の「キャッチ&リリース」問題です。
不法入国者を国境でつかまえても、その人が難民申請をすれば米国内に釈放するのです。
「x月x日にxx裁判所で難民資格を審査するから出頭してください」と解放するのですが、ほとんどの不法移民はそのまま米国内に消えるのです。
「不法移民は難民申請の言葉を呪文のように唱える。意味も知らないのに!」とトランプは怒っています。
実質的に国境がありません。
最近までニューヨークには、Right to Shelterという「屋根のついたところで寝る権利」の法律がありました。
ニューヨーク市は、住宅がない人々に対して適切な住居を提供する義務があったのです。
この法律は不法移民にも適用されます。ニューヨークは民主党左派が強い「聖域都市」だからです。
ボランティアの炊き出しもあるでしょう。
簡単に入れてくれて、寝るところと食べるところをタダで提供してくれるなんて、不法入国者にとっては天国のようだと思いませんか?
これでは不法移民が入ってこない方が不思議です。
ニューヨークに不動産をもつトランプが激怒したのも当然です。
それに共感する米国人が大勢いたのも当然です。
トランプ大統領時代、キャッチアンドリリースは停止されましたが、バイデン大統領になって復活しました。
2020年大統領選の討論会。
バイデンは「大統領就任100日以内に不法移民にも市民権取得の道を開く法案をだす」と言ったのです。
明確に、強調して、です。
「不法移民の皆さん、どんどん米国に来てください」と言っているようなものです。
結果として、バイデン政権下の3年間で不法移民は730万人純増しました。
これは公式発表の人数です。潜かに入った人と合計するとどれくらいになるか....
バイデン政権以前、米国の不法移民は1100万人程度とされていましたが、今年末までで少なくとも倍にはなるでしょう。
ニューヨーク市内のホテルの5分の1が不法移民・難民の収容所になっている状況です。
日米ともマスコミは上記のような状況やトランプの主張を最小限しか伝えなません。
そして「トランプは『移民』を差別している」といった論陣を張りました。
彼は一貫して「合法移民はよい。不法移民はダメだ」と言っているにもかかわらずです。
米国の左派マスコミによると「不法移民」という言葉は差別用語だから、できるだけ使いたくないそうです。
結果として、「トランプは移民反対の人種差別主義者」というレッテル張りに成功しました。(少なくとも日本のおいては)
今年、バイデンの民主党は、あまりに米国民の不満が高まったので、国境の壁の建設の再開をしました。
また不法移民の流入を止める法案を提出しました。
不法移民の難民申請の上限を定める、という生ぬるい中途半端なものです。
「毎週、先着XXXX名までは米国への釈放を認める」なんて冗談のような法案です。
不法は不法。一部でも認めたらダメでしょう。流入が止まるはずがありません。
そして「この法案を共和党側がつぶした」と問題を責任転嫁しています。
不法移民・難民の問題は人々の心を揺さぶります。
イギリスのEU離脱もそうでした。欧州政治は今も揺れ動いています。
日本で同じような不法移民に寛容な政策をとったら、その政権は1日で崩壊するでしょう。
国境管理はまさに国と国民感情を左右する最重要課題だからです。
これが8年前からトランプが言っていた、まさに彼の政策主張の核心です。
そして、上記のような簡単な政策説明をするだけで、「トランプ支持者の気持ちもわかる」と思うでしょう。
それをマスコミはしませんでした。これだけトランプに関する報道を大量にしていてです。
呆れるばかりです。
といっても、日米のマスコミには差があります。
米国の大手マスコミは、トランプに有利な報道もある程度せざるをえません。
現実に不法移民はどんどん流入してくるからです。
テキサスやフロリダなどの国境州の共和党系の知事が、不法移民をニューヨークやシカゴに移送するからです。
ニューヨークのホテルが不法移民・難民であふれているからです。
それを報道しないわけにもいきません。
このメルマガで何回も引用したように私のトランプ関連の情報の80%は反トランプのニューヨークタイムズ紙から得ています。
米国の左派新聞からでもトランプの言っている事に理があるとわかるのです。
それに対して、日本のTVや新聞だけ見ていると、「米国人はなぜトランプを支持するのだ? バカじゃないか」としか思えない報道ばかりです。
「トランプを支持しているのは、バカで、低学歴で、不平不満をためた、暴力的な米国人です。日本人は賢いから、だまされませんよね」という隠れたメッセージがあります。
8年以上、トランプの正当な主張を説得力のある形で日本のマスコミから聞いた事がありません。
そして、今、トランプが勝った理由を、経済問題(インフレ)やカマラ・ハリスの資質に求めています。
これらは最近の問題なので、彼ら自身の不作為の罪(報道しなかった罪)に問われないからです。
PS
イーロン・マスクがトランプ支持を公表したときに「これからはイーロン・マスクを叩く報道が増えるだろうな」と思いました。はたしてその通りになりました。
イーロン・マスクは「不法移民はスイング・ステート(接戦州)に多く移送されている。政府発表の数字だ。その不法移民が米国市民になって投票権をもてば、スイング・ステートはすべて民主党が勝つ。そうすれば、アメリカは民主党の独裁になる。それこそが民主党の狙いなのだ。」と主張しています。
これは選挙前にバズりました。
これも、米国左派マスコミに言わすと「根拠のない陰謀論」。理由は「市民権を得た元不法移民が100%民主党に投票するとは限らないから」との事。
まぐまぐメルマガ
在米14年&海外販路コンサルタント・大澤裕の『なぜか日本で報道されない海外の怖い報道』ポイント解説 より抜粋・転載
https://www.mag2.com/p/news/mag_author/0001694636