グローバル人材のためのプチ情報

動画セミナー https://www.youtube.com/channel/UCG2Sk0sNd93gziuimhR1ryw

分裂する米国民主党

不法移民への対応で米国の民主党が分裂し始めているという報道の話です。


共和党はまとまっています。トランプが起訴されたりしてマスコミの集中砲火を受けていますが、「国境の重要性」という大義を疑う共和党員はいないからです。 


逆にバイデン大統領の民主党は分裂を始めています。 


ニューヨーク・タイムズが2023年9月8日に長文で報道しているので要約してご紹介しましょう。 
=============== 
1年前、テキサス州アボット知事は、不法移民や亡命希望者をニューヨーク、ワシントン、シカゴらに送り込み始めた。 

その不法移民の波は聖域都市をますます緊張させ地域社会は疲弊している。 

そして国境危機は、今や民主党を分裂させている。 

ニューヨークのアダムス市長(民主党)は今週、「連邦政府の救済措置と国境での取り締まりがなければ、急増する移民がニューヨークを破壊する」と宣言した。 

シカゴのジョンソン市長(民主党)は先月、ホワイトハウスに「はっきり言って、シカゴ市は支援と移民政策の変更なしには、新しい到着者を安全に迎え入れることはできません」と嘆願した。 

また民主党議員であるマサチューセッツ州のヒーリー知事は、非常事態を宣言し、州兵を出動させ、ホワイトハウスに助けを求め始めた。 

今、突然、一部の民主党議員の声が共和党議員のように聞こえるようになった。 
かつては不法移民に寛容だった民主党議員が不本意ながら共和党に加わってバイデン大統領に砲火を浴びせている。 

================= 

解説 

米国北部に位置する民主党系の都市や州の首長が不法移民の流入に悲鳴をあげており、バイデン大統領に何とかしろと訴えている状況です。 

「そんなに不法移民を保護したいのなら送り込んでやる。自分たちでこの問題を経験してみろ」と不法移民をバスや飛行機で送り込んだフロリダ州テキサス州の知事の意図が当たった形です。 

ところが、声を上げ始めた一部の民主党議員の中にもさらに意見の相違があります。 
ある人は「国境管理をしっかりしろ」と言い、別の人は「不法移民に早く労働許可を与えろ」と言っているのです。 

この2つの政策は全く違います。 

国境管理をしっかりするという主張は、基本的に共和党(トランプ)と同じ政策です。 
ところが、不法移民に早く労働許可を与えろという主張は、不法移民を保護する政策であり、さらに流入を加速する結果になります。 

不法移民対策を主張し始めた民主党議員の中に全く方向性の違う人が混在しているのです。 

なぜでしょうか? 

結局、民主党は議論すべきことを議論してこなかったのです。「反トランプ」でまとまっていたにすぎないのです。 

不法移民問題は、民主党もしっかりと議論すべき問題でした。そして今、ますます重要になってきています。 

民主党は(トランプに関係なく)この問題をしっかりと議論すべきなのです。 

でないと、この重要な政策軸において民主党が3つにも4つにも分裂してしまいます。 

ヨーロッパも不法移民・難民問題に対して悩んでおり、イギリスはEUを離脱するほどでした。 

不法移民に対するしっかりとした方向性を決めないと国のかじ取りはできないのです。 

このままでは米国民主党は分裂します。 

PS 
日本のマスコミについては、こういった米国人の政治意識の潮流をしっかりと報道してくれと言う他ありません。 「トランプに騙される米国人」なんて問題じゃないのです。 

参考 
https://www.nytimes.com/2023/09/08/us/politics/gop-migrants-blue-cities.html?searchResultPosition=2