NHK特集「数学者は宇宙をつなげるか?」
世紀の難問ABC予想を証明したとする京大の望月教授の論文が世界の数学者を揺るがし、「数学とは何か」という認識論の問題にまで発展しているという大変面白い番組でした。
自分の若いころの挫折を思い出しました。
私は数学が大好きでした。「数学はある角度から現実を抽象化したもの」ととらえていました。 モノを放り上げたときにそれが落ちてくるまでの速度や時間がわかったりするのにワクワクしました。アインシュタインはこれを発展させて宇宙を理解したのだと思いました。
そういった数学好きの私に疑問を与えたのが中学3年生にならった虚数でした。 マイナスとマイナスを掛け合わせてマイナスになる世界がイメージできませんでした。 「仮にそういった数を考えましょう」と言われても、そんな簡単な言葉で納得できませんでした。
「虚数」の必然性の説明もありませんでした。 高校になると三角関数等もでてきます。作業としての計算はできても納得感はありません。これはどのような現実を抽象化したものなのかという説明が全くないのです。
数学ってなんなんだ?と興味をなくし、同時に勉強に対する意欲もなくなりました。
その後、長い葛藤を経て大学に入りましたが、それはこの文章の本題ではありません。
私は虚数で日本の教育のレールから脱落しかけたのです。
虚数に対する答えを与えてくれたのは、社会人になって読んだ「無限の果てに何があるか」という早稲田大学教授、足立恒雄氏の本でした。
「数学とは現実世界を抽象化したものである必要はない。論理的に矛盾のない完結した体系さえあればよいのだ。」と虚数が説明されていたのです。
中学3年生の私が聞きたかったのは、まさにこの言葉でした。
この言葉(数学の定義)を知ったあとであれば、三角関数や他の現実に変換しにくい数学概念などもゲームのように楽しんで学べたでしょう。
学校教育は虚数がでてきたところで数学を再定義しなおす必要があると思います。十分な時間をかけてです。生徒に「根本的な問題をごまかされてる」と感じさせないためにです。
蛇足ながら日本では枠組みが定義されてない議論が多いです。議論の枠組みを決めないと収束点が見つからないのは当たり前です。これも日本の教育の欠陥です。 つい、教育について熱く書いてしまいました。自分の挫折経験があるので...(笑)。
https://www.nhk.jp/p/special/ts/2NY2QQLPM3/blog/bl/pneAjJR3gn/bp/pzwyDRbMwp/