東京オリンピック、首都圏での無観客開催が決まりました。
しかし、海外のインテリからは、それ以上に注目されている問題があります。
それは東京オリンピックにおける政治的なアピールの発信の許容度です。
オリンピックを政治利用してはならないというのが国際オリンピック委員会の方針でした。
しかしながら東京オリンピックから新しいルールが採択されました。
それによって政治スローガンがはいったTシャツを着たり、手袋をつけた拳をあげたり、膝をつくといった行為を競技前や紹介中にすることは許されるようになりました。(表彰台、競技中、選手村、開会式、閉会式では禁止されています)
「Black Lives Matter(黒人の命は大切だ)」運動が盛り上がり、デモなどを通じて社会正義についての意識が世界的に変わってきています。昨年、大阪なおみ選手が黒いマスクをして全米オープンに出場した事でもわかるようにスポーツ選手も政治的な発信をする傾向が増大しています。
それに国際オリンピック委員会も配慮したのです。
この問題について7月9日のニューヨークタイムズ紙は、政治弾圧に反対する意味の腕を交差するジェスチャーでゴールしたエチオピアのマラソン選手や、表彰台で差別に反対の拳をあげた米国黒人女性選手らを紹介しています。
また米国オリンピック委員会と国際オリンピック委員会との対立も紹介しています。米国オリンピック委員会の方が、選手の政治主張アピ─ルに許容的なのです。
選手は選手である前に1人の人間であり発言の自由がある、という主張です。2028年夏の米国オリンピックに向けて「国際オリンピック委員会はもっと表現の自由を重視すべきだ」とも言っています。
来年、2022年2月の北京オリンピックも控えており中国も敏感になっています。
東京オリンピックでは、選手が政治メッセ─ジをどのように発信するのか、国際オリンピック委員会がどう処分するのか、日本人はどう反応するかなどが、世界中が注目している事なのです。