世界中で起きているインフレ懸念、その一つの受け皿として考えられるのが暗号通貨です。
しかしながらビッドコインに代表される暗号通貨は乱高下が続いています。最近ではイーロンマスクや中国政府の発言によって大きく上下しました。TITANのように時価総額2200億円が一夜にしてぼぼ0になった通貨もあります。
そんな中でシンガポールのストレートタイムズ8月7日の記事。
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シンガポールがデジタル決済サービス事業者にライセンスを付与、暗号通貨にとって重要な動きに
・シンガポールの中央銀行は、デジタル決済サービスを提供する「数社」に、シンガポールでの営業許可を与えると発表しました。
・オブザーバーによると、このニュースは、シンガポールに移転する暗号通貨企業の数を加速させる可能性が高いという。シンガポールは、政治的に安定しており、規制当局が実験に寛容であることから、金融サービス関係者から長い間好意的に見られてきた都市です。
・インシアード大学のデイビス教授は、「シンガポールで暗号通貨取引所を運営できるようにすることは、新しいデジタルタイプの資産を使ったビジネスに友好的になるためのシンガポールの戦略の重要な一部です」と述べています。
・デジタル資産の規制は比較的新しいため、リスクがあるかもしれませんが、当局と企業が足並みをそろえて、安全で透明性の高い方法で暗号取引所を運営すれば、リスクを軽減できるとデイビスは指摘しています。
・シンガポールの規制当局は、経済規模が小さい分、意思決定が早く、実験的な試みに寛容であることを人々は理解しています。
・シンガポールのライバルと見られがちな香港はこれまで、ライセンスを取得した会社が個人投資家にサービスを提供することを禁止し、アンチマネーロンダリングとテロ資金対策の規制を強化していると述べてきた。
・米国は巨額の資金を伴う暗号送金の報告を義務付けるとしており、中国はビットコインの取引やマイニングに対するキャンペーンを開始する、など厳しい姿勢で臨んでいます。
・この動きはアジアの主要な暗号金融ハブとしてのシンガポールの地位を確固たるものにすると専門家は述べています。
・シンガポール国立大学のアガワル教授(金融・経済学)は、今回の動きは、新しい金融環境における暗号通貨の役割が、「ゆっくりと着実に」進展していることを意味すると述べています。
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世界中の金融当局が暗号通貨に慎重な対応をしている中で、シンガポール金融管理局(MAS)が先んじて一歩を踏み出しているのです。
ちなみに私は暗号通貨を保有しているわけでもプロでありませんが、2年前に中国で暗号通貨の開発者と直接にお話しする機会がありました。
20名程の日本人グループで中国のデジタル産業の発達を見学にいったのですが、そこで新しい暗号通貨開発者の講演を聞いて食事をご一緒しました。英語を話せるのがグループで私だけだったのでゆっくりと彼に話を聞く事ができました
その時、暗号通貨は通貨というよりも投資対象としての株式に近いのではないかという印象を持ちました。ただ株式は実体のある会社がなければできませんが、暗号通貨はコンピューターと電力があればできてしまいます。
株式には配当としてキャッシュを生み出す力があります。また金、石油、穀物などの他に投資対象にも根源的な価値があります。しかし暗号通貨には、根源的な価値があるわけではなく、「多くの人が欲しがる」という事だけが価値になっています。
「だからこの人(開発者)も自分の暗号通貨を多くの人に欲しがってもらえるように宣伝しているのだ」と私は理解したのです。
他の実体のある投資対象と違って暗号通貨には以下のような特徴があります。
1. 根源的な価値をもたない
2. コンピューターで簡単に取引ができる(流動性が高い)
その特徴がおそろしい乱高下を生みます。
時価総額2200億円が一夜にしてぼぼ0になったTITANも、大きな値上がりをしたビッドコインも何の不思議もありません。当然の事なのです。
暗号通貨は最終的に0か100万円かのどちらかに収束します(100万円はもちろん例です)。そして0になるモノが大多数です。価値が一定に保たれる事を良しとする通貨とは全く別のものです。
暗号通貨を始めるならば余裕資金でなるべく多くの通貨に分散して投資すべきと考えます。